私は本になりたい

本になりたい男のブログです

【読書感想】イノベーションの波は下から襲ってくる【イノベーションのジレンマ】

今回はクレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』について書きたいと思います。

 



Amazonの創業者ジェフ・ベゾスも、Amazonの従業員に本書を渡して読むことを推奨しているのだとか。

 

余談ですが、令和4年度の中小企業診断士一次試験では、本書の内容から一問出題されていましたね。

 

どんな本なの?

この本は、すでに成功を収めた実績ある企業がなぜ、新しいイノベーションの波に乗れずに失敗するのか、その理由を豊富な事例をもとに解き明かした本です。

 

一見お固いビジネス書なのですが、割と新しめの事例が豊富で、文体も読みやすく、非常に面白くてどんどん読み進めてしまいました。朝の通勤電車の中で集中しすぎて、一駅乗り過ごしたくらいです。

 

こんな人にオススメ!

  • 新規事業開発に携わっている人
  • 新興企業や中小企業から大企業を倒してやろうという野心を持っている人

この本の重要ポイント

 

 

  • 破壊的イノベーションは、初めは既存製品より性能が低いことが多いため、既存市場では受け入れられず、ニッチな下位市場で受け入れられる

 

  • 下位市場の顧客に対応するうちに、性能が向上し、上位市場の顧客を侵食するようになる

 

  • 上位市場の顧客にも小型、安い、小回りがきくなどの新しい価値基準が認められ始め、大きなシェアをとるようになる

 

  • 実績ある企業は既存顧客のニーズや、間接費の大きいコスト構造、組織文化などに縛られ、下位市場には入り込めない

 

  • 実績ある企業が下位市場に乗り込み、破壊的イノベーションを起こすためには、買収やスピンアウトなどによって、下位市場の規模に適した規模の組織を別に作り、任せる必要がある。また、その際は自社の価値基準を持ち込んではいけない

 

本書を読んで

本書の中に次のような一節があります。

ある特性に対して求められる性能レベルが達成されると、顧客は特性がさらに向上しても価格プレミアムを払おうとしなくなり、市場は飽和状態に達したことを示す。このように、性能の供給過剰は競争基盤を変化させ、顧客が複数の製品を比較して選択する際の基準は、まだ市場の需要が満たされていない特性へと移る。

 

簡単に言うと、オーバースペックに対して顧客はお金を払わないよ、オーバースペックが度を超えると顧客は新しい評価基準で評価するようになるよ、ということ。

 

この一節を読んで僕が最初に思い浮かべたのは、スマホのカメラでした。

 

一時期どのスマホも、こぞってカメラの画素数を上げてそれを過度にアピールしていたような気がします。

 

でも僕のような写真にそこまでこだわりがなく、ある程度綺麗に映ればいいじゃんって思ってる人にとっては、それって「どうでもいいこと」ですよね?

 

カメラが何百万画素だからって、そこに対して高いお金は払いたくないわけです。

 

それならある程度の画素数で、価格も安くて、小さくて持ちやすいiPhone SEとかでいいや!っていう層が出てきます。実際私もそうでした笑

 

このことは、新製品を考える上で非常に重要な考え方だと思いますし、僕も「なるほどなぁ」と読みながら深く頷いた部分です。

 

本書は実績ある企業がなぜ失敗するのかという、大企業側の視点から書かれています。

 

しかし、逆に考えると、中小企業が実績ある大企業に勝つためには、顧客に新しい価値基準を提供する必要があり、大企業がやりたくないこと(市場が小さくて旨みがない、埋没コストに縛られる)に取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか?

 

全体を通して学ぶことが多く、すごく納得感のある本でした!