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【書評】ワクワクするビジョンを作ろう!【ビジョナリーカンパニーZERO】

今回ご紹介する本は、ジム・コリンズさんの『ビジョナリーカンパニーZERO』です。

 


書店で平積みにされていることも多いので、お目にかかったことがある方も多いのではないでしょうか。

この本は、著者が1992年に発行した『ビヨンド・アントレプレナーシップ』という本に新たな視点を加筆したリニューアル版です。『ビヨンド・アントレプレナーシップ』の共著者であり、著者の人生のメンターでもあるビル・ラジアーさん(2004年に死去)の教えを改めてこの世に残したいという思いから書かれた本です。

 

どんな本なの?

本書には、ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業をつくるための方法や、起業家が持つべきメンタリティについて、リーダーシップ、ビジョン、戦略、イノベーションなど、様々な面からに書かれています。

一方で、様々な業界の偉大な企業だけでなく、国や軍隊などの組織を率いた偉大なリーダーの事例がたくさん紹介されており、読んでいてモチベーションが上がる本だと思います。

こんな人にオススメ!

本書には企業経営やマネジメントの基本について、かなり網羅的に書かれているので、初めて勉強される方には、かなりためになる本なのではないかと思います。

ですが、個人的には目新しい内容はそこまで多くはない印象だったので、ある程度、経営理論や経営学をかじったことがある方は、同じような印象を持たれるのではないかと思います。

ということで、本書は次のような方にオススメです!

  • 企業経営やマネジメントの基本を一通り知っておきたい方
  • 経ビジネスに対するモチベーションを高めたい方
  • 起業家を目指している方

心に響いたポイント

では、個人的に心に響いたポイントを紹介していきます!

➀夢を実現するためには…?

本書の第1章は、『ビルと私の物語』というタイトルで、著者とビル・ラジアーさんの出会いから別れ、その中で著者が得たものについて書かれています。
第1章の中に、次のような一節があります。

ほとんどの人が大胆な野心を遂げられないのは、決定的タイミングですべてを捨てて取り組まないからだ、とビルは考えていた。(中略)決定的なタイミングにすべてを捨てて飛び込まなければ、夢を実現できる可能性は低いどころかゼロになる。

僕はこの文章を読んだとき、思わず深くうなずいてしまいました。
ビル・ラジアーさんは元々、一流会計事務所の公認会計士としてキャリアをスタートさせました。しかし、パートナーに指名される直前に会社を辞め、居心地の良さや安定を捨てて、起業家になるという自身の夢を追うことを決断しました。

実は僕も、現在お世話になっているメンターの方から似たような話をされたことがあります。
その方は人生をサッカーに例えて、「人生には何度か絶好のパスが送られてくる。けど大半の人はそれを決められないどころか、パス自体に気付かないことも多い。」と仰っていました。
本当にその通りだと思います。ここだというタイミングを見逃さず、パスが来た時にどんな汚い形でもゴールに押し込める力を磨き、全てを捨てて飛び込む勇気を持ち続けたいと思います。人生は1度。どうせならやりたいことをやり切っていい人生を送りましょう!

➁ビジョンの3要素

本書には、会社を率いていく上で最も重要なことは、ビジョンを生み出し、社員と共有することだと書かれています。

ここまでは、どんな経営の本でも大体書かれていますが、本書ではそのビジョンの策定方法まで具体的に書かれています。ここまで踏み込んで書いている本はなかなか無いのではないでしょうか?
具体的には、ビジョンは次の3つの基本要素で成り立っているとしています。

  1. コアバリューと理念
  2. パーパス
  3. ミッション

1つ目のコアバリューと理念とは、組織を動かす根本原則や信条を体系化したもので、「指針となる哲学」ともいうものです。組織のリーダー個人の価値観や理念の延長でもあります。
次に2つ目のパーパスとは、その企業が存在する根本的理由です。決して完全に実現されることはありませんが、企業の道しるべとなる星のようなものです。
最後にミッションは、明快で説得力のある全体目標を指します。バリューやパーパスを実現可能な目標に落とし込んだもので、達成するたびに次のミッションを設定します。

この3つの要素を組み合わせてビジョンを明確にすることで、従業員のやる気や一体感を引き出すことができ、意思決定の指針にもなります。
そのためには、現在会社が行っていることについてただ述べるだけのような、ありふれた言葉ではなく、従業員がワクワクするような言葉で表現することも重要です。

私も以前勤めていた会社のビジョンを思い出してみましたが、思い出せませんでした。思い出せないということは、それほど魅力的ではなかったのでしょうし、周知もされていなかったのでしょう。
日本の企業は特に、言葉だけは綺麗に取り繕って、実態が伴っていなかったり、従業員に浸透していなかったりということが多いように思います。
それでもこれまでは年功序列賃金、終身雇用といった家族主義的経営のおかげで、従業員をまとめていたのでしょうが、今はもうそんな時代ではありません。日本も会社の在り方を考え直す時期に来ているのだなと考えさせられました。

イノベーションを起こす組織づくり

偉大な企業を作るためにはイノベーションがとても重要です。一般的にイノベーションには、アイデアプッシュ型と市場プル型があるとされています。ビジネススクールでは伝統的に、市場ニーズを把握し、それに合致したイノベーションを生み出すべきだという市場プル型の重要性が教えられています。
しかし、画期的な製品の多くは、実はアイデアプッシュ型で生み出されているのです。考えてみれば、顧客からは「こんな機能があったらいいのに」とか「こういうデザインだったらいいのに」といった、既存の製品の延長のアイデアは出てきますが、アーキテクチャを抜本的に変えるようなイノベーションのアイデアは顧客から生まれようがないのです。

ちなみに、実績のある企業が既存の顧客の要求ばかりに基づいて製品開発を行うことで、破壊的なイノベーションに対応できず衰退していくことを「イノベーションのジレンマ」といいます。

つまり、世界を変えてしまうようなイノベーションは自分たちの頭で生み出すしかないのです。そのためには、従業員がクリエイティブな能力を伸ばすような教育を行い、イノベーションが生まれやすい環境を作っていくことが重要になります。

最後に、ソニー創業者の盛田昭夫さんの言葉を引用したいと思います。

私たちは大衆に何を望むか尋ねるのではなく、新たな製品で大衆をリードしている。膨大な市場調査をする代わりに、製品を磨きあげ、大衆を教育することを通じて市場を生み出している。

この「大衆を教育する」という考え方、すごく心に響きました。

まとめ

本書を読んでリーダーシップとはどのようなものか、企業経営の考え方の復習にもなり、今後コンサルをしていく上で参考にしたい部分もありました。

また、イノベーションについて書かれた本を読んで勉強したいと思いました。いつか会社を起こしたいという野心を持った方は、ぜひ本書を読んでみてください!